log.04 限定少量生産、という選択
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服づくりをしていると、
「どれくらい作るのか」という問いに、何度も向き合うことになる。
たくさん作れば、
たくさんの人に届く。
一方で、作りすぎれば、
余剰が生まれ、行き場を失う。
大量生産と大量消費、
そして大量の余剰。
この流れは、いまの服づくりの中では、
特別なことではなくなっている。
Yacraphでは、
その流れに乗らないという選択をしている。
限定少量生産という形を選んでいるのは、
希少性を作りたいからではない。
理由は、もっと具体的だ。
私は実際にモンゴル国を訪れ、
遊牧民の暮らしの中に入り、
顔の見える関係を少しずつ築いてきた。
ヤクの原毛は、
そうした関係の中で、その年に分けてもらえる分だけを受け取っている。
毎年、手に入る量は違う。
気候や環境によって、
分けてもらえる原毛の量も変わる。
だから、その年に作れる最大の枚数は、
そんな貴重な原毛が集まった段階で、自然と決まっていく。
あらかじめ生産数を決めるのではなく、
素材の量に合わせて、作れる分だけを作る。
Yacraphの限定少量生産は、
そうした現実的な流れから生まれている。
無縫製の機械も、
一度に大量の製品を作るためのものではない。
人の手で調整しながら、
一着ずつゆっくりと時間をかけて編み上げていく。
素材も、色も、作り方も、
すべてが「無理をしない量」を前提にしている。
限定少量生産という言葉は、
聞こえ方によっては、
特別感を演出するための表現にもなり得る。
けれど、私にとっては、
続けるための設計を言い換えた言葉に近い。
作りすぎないこと。
余らせないこと。
その積み重ねが、
素材の扱いを雑にしないことにつながり、
作り手の仕事を短命にしないことにもつながる。
大量生産を否定したいわけではない。
ただ、自分が関わる服づくりでは、
別のやり方を選びたかった。
必要な分だけ作り、
きちんと届け、
長く着てもらう。
Yacraphの限定少量生産は、
戦略というよりも、
現場と向き合った結果としての、
ひとつの思想だと思っている。