log.03 つなぎ目を減らして、原毛を活かす
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モンゴル国の工場を訪れたとき、
奥で静かに動いている機械があった。
日本で作られた、無縫製で編める機械。
いわゆるホールガーメントの編みができるタイプだ。
ニットはもともと、生地を織るより自由度が高い。
ただ、無縫製はその中でも考え方が少し違う。
パーツを編んで、あとから縫い合わせて服にするのではなく、
できるだけ“つなぎ目を作らず”一着として編み上げていく。
この作り方は、一般的に原料のロスが少ないとされている。
それは、裁断の話というより、
縫い合わせ前提のパーツ構成を減らし、
必要な形を編みの段階で近づけられるからだ。
ヤクの原毛は、簡単に増やせるものではない。
モンゴル国の遊牧民の暮らしの中で採れた毛を、
少しずつ分けてもらって、ようやく成り立っている。
だからこそ、貴重な原毛をできるだけ無駄にせず、
一着でも多く、服という形に変えていけることに意味がある。
無縫製であることは、着心地にもそのまま効いてくる。
縫い合わせが少ない分、
肩や脇、内側に“段差”や“ゴロつき”が出にくい。
動いたときに引っかかる感じや、つっぱる感じが少なく、
体の動きに自然についてくる。
目に見える派手さではなく、
着たときにだけ分かる差。
私は、そういう違いを大切にしたいと思っている。
この機械を使い続けている理由は、
珍しいからでも、古いからでもない。
ヤクの原毛を活かしながら、
服として気持ちよく成立させるための、ひとつの選択。
素材と色と、作り方。
それぞれが別の話にならないように。
Yacraphの服づくりは、
同じ線の上で続いている。