Log.07 届ける、ということ
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昨年の9月から年末にかけて、
いくつもの街を訪れた。
駅を出て、
知らない道を歩く。
地図を見ながら、
目的のお店を探す。
できるだけ、
接客の手を止めさせない時間を選ぶようにしている。
店内が慌ただしければ、
少し離れた場所で様子を見ることもある。
ウィンドウ越しに
お店の空気を感じ取り、
扉の前で一度呼吸を整える。
扉を開ける前は、
毎回少しだけ緊張する。
歓迎されるかどうか、
という話ではない。
Yacraphの【服】や考え方が、
その空間に自然と馴染むかどうか。
むしろ、
気になっているのはそっちのほうだ。
話をしていると、
そのお店が大切にしているものが少しずつ見えてくる。
何を仕入れているかより、
どんな基準で選んでいるのか。
どんな言葉で紹介しているのか。
一着の【服】を、
どんな温度で扱っているのか。
私にとって【服】づくりは、
作った時点では終わらない。
届ける人によって、
【服】の見え方や輪郭は、
少しずつ変わっていくと思っている。
Yacraphの生産量については、
これまでにも触れてきた。
もともと、
多くは作れない。
遊牧民から分けてもらう原毛の量で、
その年の枚数が自然と決まっていく。
だからこそ、
ただ並べてもらうのではなく、
背景ごと受け止めてくれるお店に
そっと託したいと思っている。
いち早く声をかけてくれた方々とは、
数や知名度ではなく、
その前提を共有できたことが大きかった。
無名であっても、
考え方が重なれば、
関係は自然に生まれる。
そしてその先で、
価値観を共有できるお店を通して、
Yacraphが誰かの手に渡っていく。
作る人。
届ける人。
受け取る人。
それぞれが無理なく繋がりながら、
少しずつ循環していく。
私は、
そういう流れの中で
Yacraphの【服】が育っていくことを、
楽しみにしている。